理系BAR
Fermi Laboratory

Since 2000


理系BAR Fermi Laboratoryを企画した理由


 20世紀は科学、技術の世紀であったとよく言われます。
 しかし、科学、技術といったものは、今、ほとんどの人からあまりに遠い位置にあり、何か問題でも起きない限り気にも止めない存在になっているように見えます。その一方で、科学、技術によりつくられるモノは、生活の隅々にまで浸透していっています。そして、知らず知らずのうちに生活の近くに来ています。
 もちろん、科学、技術はある面で私たちの生活を豊かで快適なモノに変えてくれることは言うまでもありません。しかしそれと同時に、JCOの事故や雪印の事件などでもわかるように、科学、技術の危険性は身近にもあると言えるのではないのでしょうか。

 そこで、私たち自然科学研究会では、普段の生活では縁遠く見える科学、技術といったものを考えるきっかけを提供できないだろうかと考え、「理系BAR Fermi Laboratory」という企画を行うことにしました。
 この企画の名前は、20世紀の科学、技術にとってもっとも大きな出来事の一つである原子爆弾の開発者の一人、Dr. Enlico Fermiに由来しています。

 理系BAR Fermi Laboratoryでは、科学、技術について考えるきっかけを提供することを目的としています。
 これは、私たち自然科学研究会が、科学、技術について、よいこともわるいことも、利便性も危険性も、本質的に、科学、技術を使うときに同時に生じるものであり、当たり前に二面性を持つと考えているからです。そのどちらを優先して捉えるかは、もちろん人により大きな差がありますし、一方的に決めるつけることはできないと、私たちは思っています。
 もしかしたら、科学、技術の善悪を決定できるという主張をする人がいるのかもしれません。その考えについて否定はしませんが、私たちはこう考えます。科学、技術が社会の中で、どのようなかたちを実際にとるのが一番よいかは、あまりにも問題が複雑すぎて、だれにも完全に理解できない様に見えるし、最良の解決法はだれにもわからないのではないかと。だから、現実に可能な、まだマシな解決法を自分自身で見つけていく、そうでなければ、だれかが見つけた解決法の中から、まだマシなものを選択していくということしかできないのではないかと思うわけです。
 そのためには、まず、科学、技術を見て、肯定的であれ、否定的であれ、何かを思うことが大切なのではないのでしょうか。

 だから、私たちはただ事実のみを淡々と伝えていきたいと思っています。
 そして、「科学についてちょっと目を向けて見ませんか」というお誘いを、私たちはしてみたいと思っています。

 もちろん、科学、技術から目をそむけて生きていくことは可能です。そうしてみたとしても、科学や技術は、見える形で、見えない形で、いまもそこに在ります。それとどう付き合っていくかは、無視することも含めて個人の自由なのですが、たまにはちょっと考えてみるのもいいと思いませんか。そして、ちょっとでも以前より、科学、技術に興味を持ってもらえれば、とてもうれしく思います。

 だから私たちは「理系BAR Fermi Laboratory」を企画しました。


理系BAR Fermi Laboratory
Laboratory Master:azuma@rikei.org